これは、以下の前回記事での予測が正しいかGeminiに訊ねたら、続編の記事化を奨められ言語化にご協力いただいた記事です。
約1か月半前、私は「米価高騰と価格需要曲線」についての考察記事を書きました。

当時の私の見立てはこうです。
「高騰の原因は突発的な需給逼迫ではなく、流通段階での寡占的な買い占め(相場操縦)である。もし新米が出回る秋に向けて価格が下落するなら、買い占めの証明となり、そこに行政が介入して下落を止めようとするなら『価格はマーケットが決める』という言葉は単なるポジショントークだったと証明される」
そして現在、まさにその「答え合わせ」が始まっています。
想像通りの展開:崩壊した「抱え込み」と農政の矛盾
新米の本格的な出回りを前に、民間在庫のダブつきや維持コストの限界から、市場では価格の下落傾向が続いています。高値で抱え込んでいた中間流通が、新米という新たな供給を前に在庫を吐き出さざるを得なくなった構造は明らかです。
さらに、2026年産新米の概算金(農家への仮渡金)の引き下げの動きに対し、高騰期には「市場に任せる」と静観していた行政や業界がどう反応するのか。下落局面でだけ農家保護を名目に介入しようとするならば、彼らの言う「マーケット」が都合の良い言い訳だったことが完全に証明されることになります。
しかし、今回の騒動で最も注目すべきは、行政の動き以上に**「消費者の強烈な行動変容(価格弾力性の高まり)」**でした。
主食なのに「米離れ」が進んだ2つの隠れた要因
本来、米のような主食は「高くても買わざるを得ない(価格弾力性が低い)」とされてきました。しかし今回、消費者は一斉にパスタやパンなどの代替品へシフトし、強烈な買い控えを起こしました。
なぜこれほどまでに需要側の調整が速く、強力だったのか。私は以下の2点が大きな要因だと考えています。
1. 中間流通の「転売ヤームーブ」が透けて見えたことへの反発
スーパーの棚から米が消える一方で、ネットや一部の流通では高値で取引される状況に、多くの消費者が「これは純粋な不足ではなく、中間流通による買い占め・相場操縦だ」と気づきました。単なる節約にとどまらず、「不当な高値に迎合したくない」という消費者の意思表示(心理的不買)が働いたのです。
2. 「米だから美味しくて当たり前」という体験価値の崩壊
高騰期に市場に出回った古米や低品質なブレンド米を口にした消費者は、「高く買い叩かれた上に、ボソボソして美味しくない」という決定的な食体験をしました。
「高いけれど美味しいご飯」という前提が崩れたことで、「美味しくない高額な米を食べるくらいなら、188円で確実に美味しいパスタを食べる」という合理的なシフトが一気に加速したのです。
弱者も強者も「転売ヤー」になれる時代。独占禁止法のアップデートを
今回の件で浮き彫りになったのは、現行の法制度の限界です。
現状、売り手が困っていない状況での中間流通による買い占めや転売行為自体は、直ちに違法と言い切ることはできません。しかし、それが市場全体の相場を操縦し、国民の食卓を脅かすレベルの寡占を引き起こしたことは事実です。
かつて「寡占」といえば巨大資本による市場支配を指しましたが、ネットや情報網が高度に発達した現代社会では、悪意や思惑さえあれば、弱者・強者を問わず誰もが「転売ヤー」のように結託し、一時的な寡占状態を作り出せてしまいます。
だからこそ今、求められているのは**「相場操縦を意図した寡占的な買い占め」に対する独占禁止法(または関連法規)の適用範囲の拡大**です。
「価格はマーケットが決める」と行政が野放しにした結果、得をしたのは一部の中間流通であり、損をしたのは消費者と、最終的に買取価格を買い叩かれる小規模農家でした。
市場原理を健全に機能させるためにも、ルールそのものを時代に合わせてアップデートする時期が来ています。試される3か月を経て、私たちはこの歪んだ構造をただ眺めるのではなく、法と制度の再設計を議論していく必要があります。


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